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この記事では、Tomcat版のApache Geronimoで仮想ホストを構成する方法をご紹介します。デフォルトでは、Geronimoのアプリケーションをデプロイしてスタートすると、そのアプリケーションは、利用可能なホスト名すべてに対してリスンしています。仮想ホストを構成すれば、アプリケーションが特定のホスト名やIPアドレスのみをリスンするようにできます。この記事で述べている構成手順はいくつかのホスト名で同一のIPアドレスを共用しているときでも有効です。
Geronimoで仮想ホストを構成する際は、基本的に以下の手順を踏みます。
この記事は参考としてHelloWorldアプリケーションを使いますが、このアプリケーションは 5. クイック・スタート - いますぐ始めたい人の Apache Geronimo セクションでカバーされています。
ローカルホストまたはDNSの構成
この構成を組むためには、貴方がこれから定義しようとしている仮想ホスト名が名前解決されなくてはなりません。貴方のネットワーク環境により、DNSにGeronimoサーバーのIPをエントリーとして追加しても結構です。また別の方法として、ローカルホストのテーブルへエントリーを追加するのでもよいです。ローカルホスト・テーブルへの登録の仕方はOSにより様々です。例えばWindowsでは %SystemRoot%\system32\drivers\etc\hosts
ですし、UNIXベースのオペレーティング・システムでは通常は /etc/hosts
になります。
例として、ローカルホスト・テーブルに定義済の下記のホスト名を使っていきましょう。
127.0.0.1 localhost virtualhost1.com virtualhost2.com virtualhost3.com virtualhost4.com
貴方のシステムでこれらの名前解決ができることを確認してください。
仮想ホストの定義
次に、仮想ホストをGeronimoに認識させるためにGeronimoの config.xml
に仮想ホストを定義します。このセクションでは2つの異なる仮想ホストの定義を使います。つまりGeronimoの構成では2つの新しい HostGBean (TomcatVirtualHost1 と TomcatVirtualHost2)を作成します。そのうちの1つは複数のホスト別名を持つようにします。この例では、あるアプリケーションがひとつの仮想ホスト(virtualhost1.comとします)をリスンしており、もうひとつのアプリケーションは追加の2つのホスト別名(virtualhost3.comとvirtualhost4.comとします)を持っている別の仮想ホスト(virtualhost2.comとします) をリスンしているような構成を作ってみます
<geronimo_home>/var
ディレクトリー上の config.xml ファイルを開き、<module name="org.apache.geronimo.configs/tomcat6/2.0/car">
という行を探してください。これがTomcat構成モジュールの始まりの行であり、この行のすぐ下に仮想ホストの定義を追加します。
最初のHostGBeanである TomcatVirtualHost_1
を定義するには、 <module name="org.apache.geronimo.configs/tomcat6/2.0/car">
という行のすぐ次に以下の行を追加してください。
2番目のHostGBeanである TomcatVirtualHost_2
の定義は、最初のHostGBeanのすぐ下に追加してください。この2つのHostGBeanは別々に分離されているので見分けるのは容易でしょう。この2つは、別名を定義するための <attribute name="aliases">..,..</attribute>
の部分が異なっています。
これでGeronimo.に2つの異なる仮想ホストを構成することができました。 config.xml
に対して行った変更を保管してGeronimoを start してください。
ご参考までに、下記に2つのHostGBeanが定義済の config.xml
の全体を掲載します。
デプロイメント・プランでの仮想ホストの宣言
以前述べた通り、この例では 5. クイック・スタート - いますぐ始めたい人の Apache Geronimo でご説明したHelloWorldサンプル・アプリケーションを使います。これはWebアプリケーションなので、変更するべきデプロイメント・プランは geronimo-web.xml
です。もし別の種類のアプリケーションを利用している場合は例えば geronimo-application.xml
のような別の種類のデプロイメント・プランを使う必要がある場合もあるでしょう。
前のセクションでは2つの仮想ホストを定義しました。ではこれから2つのアプリケーションが各々の仮想ホストを別々に利用するような形でデプロイしてみます。
双方のケースで同一のアプリケーションを使いますが、お互いを区別するために異なった artifactId
を与えてデプロイします。そうすれば、コードを変更せずに各々のデプロイメントを区別することができます。
貴方が 5. クイック・スタート - いますぐ始めたい人の Apache Geronimo のセクションで説明した手順を実施済とすると、貴方の環境は下記のような構造になっているはずです。
solidgeronimo-web.xml
ファイルを開き、デプロイメントがユニークになるように artifactId
と context-root
を編集してください。更に web-app
セクションに host
属性を追加して、このアプリケーションにリスンさせたい仮想ホスト、このケースでは virtualhost1.com
を記述します。
geronimo-web.xml
ファイルへの変更を保管し<app_home>ディレクトリーで下記のコマンドを入力してWARファイルを生成します。:
jar -cvf HelloWorld_1.war *
一旦デプロイされれば、このアプリケーションはホスト名 virtualhost1.com だけをリスンしているはずです。
この手順を繰り返して2番目のWARを作ります、再度 geronimo-web.xml
ファイルを編集し下記の例から中身をコピーしてください。変更するのは artifactId
, context-root
と host
だけですのでご注意ください。
geronimo-web.xml
ファイルへの変更を保管し<app_home> ディレクトリーで下記のコマンドを入力してWARファイルを生成します。
jar -cvf HelloWorld_2.war *
これで2つのアプリケーションを2つの別々の仮想ホストへデプロイすることができました。
アプリケーションのデプロイ
ここまでで、Geronimoを2つの仮想ホストを使うように構成できました。そのうちの片方は追加の別名もリスンするよう構成されています。あとはアプリケーションをデプロイしてテストをするだけです。アプリケーションをデプロイするには以下のコマンドを<geronimo_home>\binディレクトリーで入力してください。
deploy --user system --password manager deploy <app_home>\HelloWorld_1.war
下のような成功の確認メッセージが表示されるはずです。
dashed2番目のアプリケーションも同様にデプロイします。
java -jar deployer.jar --user system --password manager deploy <app_home>\HelloWorld_2.war
下のような成功の確認メッセージが表示されるはずです。
dashedあとはデプロイされたアプリケーションをテストするだけです、まず先に hello_1 に対してGeronimoサーバーのマシンに定義されているホスト名を使ってアクセスしてみます。
Host name / Virtual Host | Access |
---|---|
Fail | |
SUCCESS!!! | |
Fail | |
Fail | |
Fail |
次は hello_2 で繰り返します。
Host name / Virtual Host | Access |
---|---|
Fail | |
Fail | |
SUCCESS!!! | |
SUCCESS!!! | |
SUCCESS!!! |
おめでとうございます!!! 2つのアプリケーションを2つの異なる仮想ホストと別名に割当てる構成とデプロイが成功しました。